
ISISイスラーム国の機関誌Dabiq ( ダビク、 ダビック ) 7号の
Foreword ( 巻頭のことば )では、湯川遥菜さん、後藤健二さん、安倍首相だけでなく
小泉元首相と香田証生さんについても書かれていたのですが、
あまり、そこに触れている報道が無いので、とりあえず、
2ページある巻頭の辞の1ページ目を日本語に意訳します。
この号には、英国人人質キャントリー( Cantlie )氏も
英国政府の人質解放に関する批判を含めた非常に意味深い寄稿をしており、
それも、また、後日、訳すかもしれません。
【Foreword 】
「日本は我らと何の関わりがあるというのだ?
誰が、日本を、この艱難で強大で、猛烈な戦争、
パレスチナの兄弟への犯罪に、巻き込んだのだ?
日本には我らとの戦争をもちこたえることができない。
だから、自分達の立場をよく考えるべきだ。
南(半球)の彼方にあるオーストラリアは、我らや、
アフガニスタンやパレスチナの守る術を持たない人民と、
何の関わりがあるのだ?
ドイツは、Kufr ( 不信仰 ) で、crusade ( 十字軍、キリスト教 )
である以外、
この戦争と何の関わりがあるのだ?
これは、新たな十字軍遠征だ。
獅子王リチャードやドイツのバルバロッサやフランスのルイに
率いられた十字軍遠征のような十字軍遠征なのだ。
同様に、本日、ブッシュが、十字架を掲げると
十字軍国家が即座に先を争って駆けつけた。
アラブ諸国は、この十字軍と何の関わりがあるのだ?
なぜ、彼らは、白昼、この戦いに全裸で堂々と参加するのだ?
それは、十字架のもとに支配されることに満足しているからだ。」
[2001年10月インタビュー]
Shaykh Usāmah Ibin Lādin ( rahimahullāh ) ( オサマ・ビン・ラディン Shaykhシャイフは賢者,師 )*
は、13年前、数々の国家が、十字軍連合に結集し、アフガニスタンを
侵略した時、こう語った。
日本は、非キリスト教の多神教国家であるのにも、その「平和憲法」にも、
アフガニスタンから遥か遠く離れているのにも、かかわらず
この十字軍に参加した。
この当時の浅はかな首相、小泉純一郎は、西洋十字軍への
物資配送支援を投入した。
ムスリムに対する十字軍遠征に参加することによって
日本のためにどんな利益を得られると思ったのだ?
その後、日本は、小泉政権のもと、イラクへの十字軍遠征にも、
「自衛隊」を派遣して支援した。
その時、Shaykh Abū Mus’ab az-Zarqāwī ( rahimahullāh )( アブムサブ・ザルカウィ師* ) に率いられた
mujāhidīn ( ムジャヒディン 聖戦士 ) が、
日本の十字軍( キリスト教徒* ) 香田証生を捕らえ、
日本の軍隊がイラクから撤退しなければ処刑すると脅かすと
小泉とその政府は、傲慢にも、
日本は、「テロリスト達」の要求には屈しない、と言ったのだ。
それゆえに、香田は、十字軍連合に属するNick BergやKenneth Bigley同様
斬首された。
その10年近く後、「平和主義」日本は、再び、叡智に反して、
ムスリムに対する新たな十字軍連合に参加したのだ。
今度は、「ノーベル平和賞」を受賞したオバマの指揮のもとで。
つまり、勝てる見込みの無い戦争で、「平和主義」国家が、「平和」賞受賞者に率いられているのだ。
まるで、Khilāfah ( カラフィ、イスラーム国、帝国 ) が、
怒らせると危険な国だとは思っていないかのように
2億ドル以上をイスラーム国との戦いに使うと
明白にした上で支援すると公に約束することで、安倍晋三は、
日本に、一体、どんな利益をもたらせると思っていたのだ?
一体、どんな不遜さが彼を盲目にして、
Wilāyat Saynā’ ( ウィラーヤ・サイナ サイナ行政区* ) でイスラーム国の兵士達と戦う
tāhūt ( 偶像崇拝など境界を越えた不信仰者* ) であるSisi ( エジプトのAbdel Fattah el-Sisi シシ大統領* ) の
立てた演壇から、このような思慮のない( 思いやりのない* ) 発表を行なわせたのだ?
イスラーム国には、日本人人質が2人いて、牢獄の中で、
この日本の指導者の大失敗を待っていると、
何が、彼に、「忘れ」させたのだ?
***( 以上、巻頭1ページ目 全訳 )***
【追記1】
続き ( 巻頭2ページ目 )は、既に、あちこちで訳が出ているようです。
この1ページ目の最後で、
安倍首相が、2人の人質が拘束されているのを十分承知した上で
2億ドル支援の演説をエジプトで行うという「thoughtless」さを批判、
2ページ目で続けて、第二次世界大戦後
西側諸国の奴隷になっていると歴代政府につながる現政府の傲慢さを
侮辱するためにイスラーム国にとって必要ではないし
日本政府が払うとも思っていないが2億ドルを要求した、と書かれています。
↓
The Khilāfah was not in need of the money and knew fully that the
Japanese would never provide the sum, but it had decided – by
this demand – to humiliate the arrogance of this Japanese
government … a government in a line of governments enslaved by
the West since the Second World War.
なんとなく…、どういうことを言えば、一部の日本人の心がざわつくか
熟知しているような文章です。
【追記2】
英国人人質ジャーナリストJohn Cantlie ジョン・キャントリー氏が
レポーターをつとめるISIS最新プロパガンダ動画
From Inside Halab ( Aleppo ) Video
「アレッポの街から」動画
https://canarin.wordpress.com/from-inside-mosul/
をページに追加しました。
From Inside Mosul Video
「モースルの街から」動画
https://canarin.wordpress.com/from-inside-mosul/
も上ページに、貼ってあります。
香田証生も後藤健二さんもクリスチャンであるためか
日本の「crusader (十字軍、キリスト教徒)」と呼ばれていますが、
湯川遥菜さんは、「Mercenary ( 傭兵 ) 」と呼ばれています。
このDabiq7号のPDF は
http://www.blazingcatfur.ca/wp-content/uploads/2015/02/ISIS-Dabiq-Issue-no.-7.pdf
から、まだ、ダウンロードできます。
【追記3】
John Cantlie氏の寄稿の他にも
ムアズ中尉の処刑は空爆を再現したものとする巻頭特集
フランスKosherスーパー襲撃主犯クリバリ追悼記事と妻のインタビュー
イェルサレム出身のアラブ系イスラエル人スパイのインタビュー
拘束されたエジプトのコプト教徒の記事など
【追記4】
Dresden Bombing 70 Years On
ドレスデン大空襲70周年
https://canarin.wordpress.com/dresden/
ページを追加しました。